7月 ニュースレター

2016年7月 ニュースレター

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■ セクハラ指針の一部改正で「LGBT」に関する内容が明記されます!

■ 厚労省の調査結果にみる「障害者の就労」の実態

■ 「改正確定拠出年金法」成立!加入対象者が大幅に拡大

■ 企業にとってのメリットは?「法人番号」の利活用

■ 「定年後再雇用と処遇」をめぐる東京地裁判決 労働契約法20条違反!

■ トラブルの多い「求人票への虚偽記載」で懲役刑を検討

■ 「下請保護情報ネットワーク」拡充による長時間労働対策の強化

■ 相談件数が過去最多!「若年性認知症」と就労継続支援

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セクハラ指針の一部改正で「LGBT」に関する内容が明記されます!

◆ 企業に求められるLGBT対応

近年、人権保護の観点からはもちろん、リスク対応や優秀な人材の確保といった観点から、企業においてもLGBTへの理解と対応が求められてきています。

ここでいう「LGBT」とは、レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)といった性的少数者のことであり、2015年に電通総研が行った調査では、人口の7.6%がLGBTであると発表されています。

そのよう中、厚生労働省は、いわゆる「セクハラ指針」(事業主が職場における性的言動に起因する問題に関して雇用管理上構ずべき措置について)の改正を行い、企業にLGBTなどの性的少数者へのセクハラにも対応する義務があることを明文化する方針を固めました。

◆ 職場におけるセクシュアルハラスメントの対象者の明確化

 労働政策審議会(雇用均等分科会)の中で示された「事業主が職場における性的言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針の一部を改正する告示案」では、「従来より、職場におけるセクシュアルハラスメントについては、被害者の性的指向や性自認は問わないものであるが、それが周知徹底されていないとの声が近年多くなっている。これを踏まえて、被害を受ける者の性的指向や性自認にかかわらず、これらの者に対する職場におけるセクシュアルハラスメントも、セクハラ指針の対象となる旨を明確化する改正を行うこととする。」とされました。

現在でも性的少数者は指針の対象となっていますが、明文化はされていませんでした。

セクハラ指針の2(1)に、「被害を受けた者の性的指向や性自認にかかわらず対象となる」と新たに明記することで、さらなる周知徹底を図るねらいがあるようです。

◆ 施行日について

上記指針は平成29年1月1日より改正される予定ですので、社内のセクシュアルハラスメント防止規程の見直しや社員への周知等、LGBT対応が必要になってきます。

厚労省の調査結果にみる「障害者の就労」の実態

◆ 障害者の就職者数が過去最高を更新

厚生労働省が「平成27年度 障害者の職業紹介状況等」を公表し、ハローワークを通じて就職した障害者が9万191人(前年度比6.6%増)と7年連続で増加し、過去最高を更新したことがわかりました。

また、就職率(就職件数/新規求職申込件数)も48.2%(同1.0%増)と上昇しました。

◆ 精神障害者の就職件数が大幅増加

 就職者の内訳をみると、精神障害者が3万8,396人(同11.2%増)、身体障害者が2万8,003人(同0.6%減)、知的障害者が1万9,958人(同6.6%増)、発達障害者などは3,834人(同21.1%増)となっており、精神障害者の就職件数が大幅に増加しています。

この理由として、昨年4月より法定雇用率(2.0%)を達成していない場合に納付金を徴収する企業の対象が従業員200人超から100人超に対象が拡大したこと、平成30年度には障害者雇用促進法の改正に伴い精神障害者を法定雇用率の算定対象に含めることが挙げられます。

◆ 医療・福祉や製造業への就職が多い

 調査結果を産業別にみると、「医療・福祉」への就職者が最も多く3万3,805人(37.5%)、2番目は「製造業」の1万1,933人(13.2%)、3番目は「卸売・小売業」の1万1,577人(12.8%)となっています。さらに「サービス業」、「運輸、郵便業」と続いています。

また、職業別では、「運輸・清掃・包装等の職業」が3万1,393人(34.8%)で最も多く、以下、「事務的職業」(1万8,469人、20.5%)、「生産工程の職業」(1万1,599人、12.9%)、「サービスの職業」(1万819人、12.0%)となっています。

◆ 企業の理解や雇用環境の改善が必要

 厚生労働省では、「好調な雇用状況を背景に障害者の求職意欲は増しているため、企業の理解をさらに進めるとともに、障害者が働きやすいよう雇用環境の改善を図りたい」としています。

また、法定雇用率未達成企業の民間企業に対して達成を実現させるよう指導を行い、関係機関と連携して障害者雇用のための支援を行うとしています。

「改正確定拠出年金法」成立!加入対象者が大幅に拡大

◆ 来年1月から施行へ

確定拠出年金法等の改正案が5月24日に成立しました。

これにより、来年1月から専業主婦を含めたすべての現役世代が実質的に加入できることとなり、新たに加入対象となる公務員や主婦らの取込みに向け、金融機関等の動きも活発化しています。

◆ 「個人型」の対象が大幅拡大

 確定拠出年金には、会社単位で入る「企業型」と個人で入る「個人型」があります。

今回の改正により加入対象が広がるのは「個人型」です。これまでは自営業者や企業年金がない会社の社員らが対象でしたが、主婦や公務員が加わるほか、すでに企業年金に入っている会社員も併用して使えるようになります。

これにより、これまで約4,000万人に限られていた加入対象者は約6,700万人に拡大し、低所得で国民年金の保険料が免除される人たちを除いてすべての成人が加入できるようになります。

◆ 税制上のメリット

確定拠出年金では運用益が非課税となるほか、掛け金の全額が課税対象の所得から差し引かれるため、そのぶん所得税や住民税も安くなります。

今回の改正により、主婦と公務員だけでも最大400万人が個人型に入るとみられ、実際の加入者も現在の約500万人から約2倍に膨らむと言われています。

◆ 企業型の加入者に最大の恩恵

また、掛け金は多いほど有利になるので、今回の改正で最もメリットが大きいのは「すでに企業型を利用している人」と言われています。

所得税を納めていない主婦等の恩恵は運用益が非課税になるだけですが、企業型の加入者は個人型を上乗せして掛け金を増やせば、一段の節税効果も期待できるからです。

◆ 「自助努力」「リスク把握」も必要

一方、確定拠出年金は公的年金とは違い、加入の判断や運用する掛け金の額、運用商品を個人が判断し、運用次第で将来の年金額が変わります。運用成績が悪ければ受け取れる年金が掛け金の総額を下回るリスクもあり、加入者自身が知識をもって自助努力を行う必要があります。

また、運用資金に余裕がある人と運用資金を準備できない低所得者との年金格差が広がる可能性も指摘されており、今後の課題と言えます。

企業にとってのメリットは?「法人番号」の利活用

◆ 13桁の番号

株式会社や社団法人、協同組合等、設立の登記を行った法人や国の機関・地方公共団体などに、13桁の法人番号が指定される「法人番号制度」が平成28年1月よりスタートしています。

個人番号とは異なり、誰でも利用することが可能な法人番号について、先般、国税庁より番号の調べ方や売掛金管理での活用方法等を紹介するリーフレットが公表されました。

◆ 法人番号公表サイトとは?

「国税庁法人番号公表サイト」(http://www.houjin-bangou.nta.go.jp)では、「法人番号」「商号または名称」「所在地」などから、法人等の基本3情報(商号または名称・所在地・法人番号)を検索することができます。

◆ 法人番号の活用方法

(1)取引先情報等の入力補助による効率化

ダウンロードデータ等を活用することで、法人番号だけ入力すれば「法人番号公表サイト」で公表している「法人名」「本店所在地」の情報を自動的に補完入力する機能を追加することができます。これにより、誤入力等による問題が解消できるほか、入力作業の効率化にもなります。

(2)売掛金管理等、会計業務の効率化・自動化

法人番号付きで売掛金(売上台帳)の管理を行うと、法人番号をキーに取引先ごとの集計が容易になります。また、支店・出張所との取引であっても、本店と同一の法人番号であることから、取引先ごとの集計を確実に行うことができます。

◆ 国際的に利用可能な企業コードとしての法人番号

(1)電子商取引での活用例

各企業が、発番機関コードに法人番号を付加したものを共通の企業コードとして活用することで、各企業システム間のコード変換作業が不要となり、全体のコスト削減を実現することができます。

(2)電子タグの活用例

電子タグについては、出荷品や在庫などに、「カード型」「ラベル型」「ボタン型」「スティック型」など、様々な形状の電子タグを取り付けて無線で読み取ることで、在庫や場所を把握する技術が普及してきています。この電子タグに統一された企業コードを記録することで、物流の効率化や、電子タグの普及にもつながることが期待されています。

「定年後再雇用と処遇」をめぐる東京地裁判決 労働契約法20条違反!

◆ 会社に賃金差額の支払いを命じる判決

新聞報道等ですでにご存じの方も多いと思いますが、5月13日に東京地裁から「定年後再雇用と処遇(賃金)」についてこれまでの“常識”を覆す判決が出ました。

判決の趣旨は「定年後に嘱託社員として再雇用された3人の労働者(トラックドライバー)の職務内容が定年前と変わらないにもかかわらず、会社(運送会社)が賃金を約3割引き下げたことは違法(労働契約法20条違反)である」というもので、会社には賃金の差額の支払いなどが命じられました。

◆ 判決に対する評価

上記のような賃金格差について労働契約法20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)の違反を認めた判決は過去に例がなく、労働者側の弁護士は「通常の労働者と定年後再雇用された労働者との不合理な格差是正に大きな影響を与える画期的な判決である」と評価しています。

また、原告の1人は「同じような立場の人にこの判決が力となれば」と話しているそうです。

◆ 今後の企業実務への影響は?

判決後、会社側はすぐに控訴したため、裁判における最終的な結論がどのようになるかは現時点ではわかりませんが、仮にこの判決(=労働者側の勝訴)が高裁・最高裁で維持された場合、定年後再雇用者の賃金引下げは認められなくなるケースが出てくる可能性があり、企業実務への影響は非常に大きなものとなります。

今後の裁判で裁判官がどのような判断を下すのか(裁判がどのような結論となるのか)について、注視しておく必要があるでしょう。

【参考条文】労働契約法第20条

有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

トラブルの多い「求人票への虚偽記載」で懲役刑を検討

◆ 法改正へ向けて秋以降に本格議論

厚生労働省の有識者検討会が、ハローワークや民間の職業紹介事業者に、労働条件を偽って求人を出した企業とその幹部に対する罰則を設けるべきとする報告書をまとめました。

この罰則には懲役刑も含むものとされており、また、これまで規制のなかった求人情報提供事業者(求人雑誌等)についても、労働条件の明示義務等のルールを定めることが必要だとされています。

現在、企業が自社のホームページ等で虚偽の労働条件を掲載し、直接採用した場合には罰則(6月以下の懲役または30万円以下の罰金)の適用がありますが、ハローワーク等に虚偽の求人を出しても罰則はありません(ただし、是正指導が行われることはあります)。

今秋以降の労働政策審議会で議論され、職業安定法の改正が行われるようですので、注目しておきましょう。

◆ トラブルは増加傾向にある

厚生労働省のまとめによると、ハローワークの求人票に関する苦情・相談は、平成27年度は1万937件と、前年度よりは10%ほど減少しましたが、調査が始まった平成24年度の調査開始からみると増加傾向にあり、内容としては「賃金」「就業時間」「職種・仕事内容」をめぐるトラブルが多くなっています。

また、「求人票の内容が実際の労働条件と異なる」ことを要因とした相談等は3,926件(36%)あり、次いで「求人者の説明不足」が2,540件(23%)で、これらで約6割を占めています。中には、こうしたトラブルが訴訟に発展するケースもあるようです。

◆ 求人申込書の記載にあたっての注意点

求人票やハローワークのインターネットサイトに掲載される情報のもととなる「求人申込書」の記載については、別の注意点もあります。全般的な書き方については冊子でまとめられていますが、これとは別にこのほど「固定残業代の表示」に関するパンフレットが公表されました。

求人申込書の賃金欄について 、固定残業代制を採用する場合は「固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法」、「固定残業代を除外した基本給の額」、「固定残業時間を超える時間外労働」、「休日労働および深夜労働分についての割増賃金を追加で支払うこと」などを明示することが必要であり、基本給には固定残業代などの各種手当は含めない等の留意点が記載されています。

意図せずにブラック企業とのレッテルを貼られることのないよう求人情報の記載には注意が必要です。

「下請保護情報ネットワーク」拡充による長時間労働対策の強化

◆ 「下請保護情報ネットワーク」とは?

厚生労働省、経済産業省、公正取引委員会では、平成20年より「下請保護情報ネットワーク」を構築し、労働基準監督署(以下、「監督署」)がいわゆる“下請たたき”に該当する賃金不払い等のおそれのある事案を把握した場合、公正取引委員会または経済産業省に通報することとしています。

今般、下請事業者における長時間労働についても、その原因が発注者から過酷な納期を強いられたり急な仕様変更があったりすることを受け、上記通報制度が拡充されました。

◆ 通報があるとどうなる?

監督署の立入調査により長時間労働があり、その背景に発注者による買いたたき等があると判断された場合に、経済産業省や公正取引委員会に通報がなされます。

中小企業庁や公正取引委員会により発注者に指導が行われ、それでも改善がない場合は、企業名の公表のほか、罰金の対象となるケースもあります。

◆ インターネットやSNS上の書込みの監視も強化

今般の拡充は、6月2日に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」を踏まえ、長時間労働の是正により誰もが働きやすい環境の実現を目的として行われました。

厚生労働省では、上記拡充のほか、インターネット上で「求人情報」「口コミサイト」、「SNS」等を監視するサイバーパトロールも強化します。

これによりブラック企業に関するキーワードを専用システムで検出し、疑いのある会社は監視員が精査し、所轄の監督署に情報提供がなされます。

◆ トラック運送業、建設業等では取引実態に関する調査も

政府は、今年4月から自動車・同部品産業と建設業の大企業に対して、5月からトラック運送業の大企業に対して調査を実施しました。

その目的は、原材料価格やエネルギーコストの上昇による企業の仕入価格上昇等の取引価格への反映のほか、労働条件等に関する問題の実態把握にあり、業界団体による改善策の検討も始まっています。

今後は、これらの調査により収集された情報に基づいて監督署による調査が行われる可能性もあります。

相談件数が過去最多!「若年性認知症」と就労継続支援

◆ 相談件数が過去最多に

「若年性認知症」に関する電話相談に応じるコールセンターに寄せられた件数(2015年、認知症介護研究・研修大府センター調べ)が、過去最多の2,240件だったことがわかりました。

集計を開始した2010年と比べると約2倍に増加しており、厚生労働省は、患者の支援を強化するため、各都道府県に「若年性認知症支援コーディネーター」の配置を進め、就労継続支援の拡充を行っていく考えです。

◆「若年性認知症」とは?

65歳未満の人が発症する認知症を総称して「若年性認知症」といい、厚生労働省の推計では約4万人の患者がいるとされています。

上記コールセンターに寄せられた相談内容は、「物忘れ」や「今後の不安」が多く、「働きたいが仕事を辞めるよう促されている」といった就労関係も目立っています。

発症年齢の平均は51歳で、働き盛りの現役世代も多いため、今後、就労継続支援の拡充などが課題となっています。

◆ 「若年性認知症支援コーディネーター」とは?

「若年性認知症支援コーディネーター」は、各都道府県に配置され、患者に適した医療機関を紹介したり、障害年金や成年後見制度などの申請手続を補助したりするほか、発症後間もない場合には事業所との勤務調整を行い、職場復帰や再就職などを支援するといったサポートを行うとのことです。

コーディネーターは、医師や精神保健福祉士など、専門の知識を持った人で、きめ細やかな支援体制を整えるために厚生労働省が2016年度から取り組んでいます。

◆ 認知症や支援制度に関する知識を持っておくことが必要

厚生労働省の研究班の生活実態調査(2014年度)によると、就労経験がある1,400人のうち、約8割が「職を失っている」という結果が出ています。また、そのうち約2割は時間短縮や配置転換、通勤などの「配慮がまったくなかった」と回答しています。

自分や周りの人が発症した際に備え、今一度、認知症に関する知識を深め、なおかつ支援制度について知っておく必要があるでしょう。

2016年は猛暑の見込み!「熱中症対策」は万全ですか?

◆ 熱中症による救急搬送者数が急増

2016年の夏は、猛暑となることが予想されています。

5月24日の消防庁の発表によると、5月16日から22日にかけての熱中症による救急搬送者数は全国で688人。前年の同時期は420人で、200人以上も上回る結果となりました。

統計推移を見ても、熱中症による救急搬送者数は毎週増加しています。

ひどい場合には生命の危険もある熱中症。夏本番を迎える前に、対策を講じておくことが大切です。

◆ 熱中症は屋内でも発生する!

熱中症は、夏の強い陽射しの下で作業をするときだけではなく、屋内にいるときでも起こることがあります。

過去の熱中症死亡例について職業別にみると、建設業がその40%を占めていますが、続いて、製造業が約20%を占めていました。屋内の作業であっても、高温多湿の環境で長時間労働すれば熱中症の危険性が高まります。

熱中症は、誰でもかかる可能性がありますが、正しい予防方法を知り、注意しておくことで防ぐことができます。

こまめに水分をとること、大量の汗をかくときは塩分をほどよくとること、気温や湿度を気にかけること、暑さを過度にガマンせず室温を適度に下げることなど、職場で再確認しておくことで、熱中症の発生を予防することができます。

◆ 活用したいWBGT(暑さ指数)

熱中症の原因となる暑さの要素(気温・湿度・輻射熱・気流)を総合的に考慮した指数が、WBGT(湿球黒球温度)です。これが高いときに熱中症が起こりやすいため、労働現場での熱中症対策の目安となります。

熱中症予防の第一歩として、まずは職場のWBGTについて確認してみましょう。

「保活」の実態に関するアンケート調査結果から

◆ 大きな社会問題となっている待機児童

昨今、「待機児童」の問題が新聞やテレビでも頻繁に取り上げられており、大きな社会問題となっています。

このような社会情勢を受けて、厚生労働省では、「『保活』の実態に関する調査」(平成28年4月11日~5月31日意見募集)を行い、4月30日分までの取りまとめを公表しました。

「保活」とは、「子どもを認可保育園等に入れるために保護者が行う活動」のことですが、実態把握のために国が調査に乗り出した形です。

◆ 妊娠中、妊娠前から保活をしている人も

上記調査によると、「保育」を開始した時期に関する質問について「出産後6カ月以降」との回答が最多で23.6%、次いで「出産後6カ月未満」が22.5%となっています。

また、「妊娠中・妊娠前」に開始したとする回答も2割ほどあり、世間的にも、子どもの保育園がなかなか決まらないことに対する不安が広がっていることから、早めの対応を考える人が多いことがわかります。

◆ 職場、仕事との関係

「保活」による苦労・負担として、「職場、仕事との関係」では以下のような声が挙がっています。

・本当に仕事に復帰できるか分からないという不安ある

・保育園に入れなければ職を失ってしまう不安がある

・仕事をしなければ保育園に入れず、保育園に入れなければ仕事に就けないという状況で板挟みにあう

・入園できるか直前までわからないため、会社と職場復帰に向けての具体的な調整ができず、人員配置等で迷惑をかける

◆ 就労条件を変える人も

「保活」の内容として「就労条件を変えた」とする人も一定数おり、時短勤務や在宅勤務に変更したり、派遣社員に雇用形態を変更したりするケースもあるようです。

この「保活」の問題は、育児休業中の従業員を抱えている企業だけでなく、すべての企業にとって無視できない問題となっています。企業のフォロー体制等も含め、実態を把握したうえで検討が必要なところでしょう。

2016-07-23