雇用保険料引き下げ 経済対策骨格 財源に特別会計活用

 政府が7月中に取りまとめる経済対策の骨格が14日分かった。企業と従業員が原則折半で負担する雇用保険料を引き下げ、消費を喚起するほか、特別会計の活用で財源を作り「1億総活躍プラン」の関連施策にあてることを検討する。英国の欧州連合(EU)離脱を受けた金融不安を避けるため、地域金融機関を対象とする公的資金注入の申請期限は、平成29年3月から延長する。

 雇用保険は労使が納める保険料と国庫負担を財源に失業者を給付金で支える制度。労使の負担分を合計した保険料は今年4月、賃金の1%から0・8%に下がった。従業員の保険料をさらに0・1%下げた場合、年収400万円の会社員の負担は年4千円減る。

 一方、失業者の減少で給付総額が抑えられ、制度を運営する労働保険特別会計の26年度末時点の積立金は過去最高の6兆3千億円に達した。政府は国庫負担を一時的に止め、浮いた約1千億円を29年度から保育士や介護職員の待遇改善にあてる。給付が受けられる育児休業期間を現行の1年半から延長することを検討。介護離職防止に積極的な企業への助成金も拡充する。

 公的資金の注入期限延長は金融機能強化法を改正する。金融機関の財務悪化を防ぎ、中小企業の資金繰りへの悪影響を食い止める。若者対象の無利子の給付型奨学金や農地の大規模化、訪日観光客向けのインフラ整備なども進める。これらの政策の大半は、29年度の予算編成や法改正でまかなう。(産経ニュース

2016-07-19